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Medium Coeriへようこそ。お手数ですが初めてお越し下さった方は『始まりの挨拶』を一読し、納得なさってからご観覧下さい*このブログは同背後PCが共有で使っています。同背後バレが嫌な方は申し訳無いですがお引き取り下さい

偽シナリオ夏の船舶旅行!~ウニへの復讐~【③海編】

旅団「LAD*UNA」【無限】にて行われた偽旅団シナリオ
【③海編】
*読みやすさ重視でエンディングから逆流れUP中。
*全部掲載すると重い(長い)ので追記にて掲載。


ラディ吃驚
頂ものだし、すぺぺいっと素早くがアプしよう思てたのにかなり間が開いちゃたよぅ(あせっ)

えと、こないだが続き・・と言うより物語前半か?上げさせてもらうよぅノシ
<大海原 ~一日目~>
  
 う~み~は~
    ひろい~な~
       おおき~い~なぁ~
  
 グングンと速度を上げて海面を駆ける『くじらごう』、気分爽快と言わんばかりに快晴の下風を切って大海原を引き裂いていく。
 その姿は正に悠々自適な大鯨の如く、荘厳且つチャーミングな感じ。まるで楽しそうに泳いでいるような印象を与える。
   

 青が過ぎ遙か後方に青が流され、そして前方に青が見える。
 何処までも続く水平線!
 その海と空とを分かつ物は陽光を反射させた輝き!
 甲板の潮風はサイコーだー!
 ノリとしては歌でも歌いながら気楽に爽快に行こうっ! と言った所。 ……に、なる予定だったのだが。
 大きな大きな何処までもスケールのでっかい海を前にやたらハイテンションになる予定だった、の、だがっ!
 そう、特にサルサやアーザスがハイテンションに歌ったりするんだろうなと誰もが予想していた。
 ところが!
  
「こ、こんな事で気が合うとは思わなかったぜ……サルサ……。ま、同じ船酔い同士仲良くしようじゃねぇか……」
「いやだぁぁ~~、こんな事で仲良くなりたくはねぇ~~ぞぉ~~……」
  
 歌声? ナンデスカそれ? 
 そんな雰囲気。
 歌い手と予想されていた人間の口から出てきたのはとっても景気の悪い声だった、歌どころではない。
 甲板の手摺に掴まってると言うか、もたれ掛かってると言うか、辛うじて引っ掛ってる二人。
 ぐてぐてだ。
 心なしか目つきもヤバイ。
  

 たぶんこの状態でサンバを踊ったら景気よくリバースするに違いない。そしてサンバを踊った事を後悔するだろう。
 一番元気な奴らが一番船酔いしていた、何かのバチでも当ったのだろうか?
 食べ過ぎて呪われたとか。
  
「なりたくない、ねぇ。相手がティナだったらどうだ?」
「大、歓迎だぜぃっ!!」
  
 しかし船酔いしてもこの二人がアーザスとサルサである事にに変わりはなかった。
 腐っても調子だけは良い。
 余裕が有るのか無いのか今一分からない。
  
「……残念。目の前にいるのは、俺、だっ」
  
 青い顔で不敵に笑ったらこんな顔になる、文章だけなので伝わらないかも知れないが楽しげな幽霊って感じ。
 対するサルサはすかさずそっぽを向いていた。
  
「……うぷっ!」
「あ、てめ、露骨に嫌がりやがったな」
  
 なんというか。
 緊張感の無い船酔いどもだった。 
 船内で大人しくしていれば良いのだが、二人ともこの海を見ると言って聞かず、結局潮風を浴びると言うもっともらしい理由をつけてここに上がって来たのだった。
 無駄にど根性してこそ男である。
 その結果見事に悪化したのだが。
 そこにスパッとアヤノの元気な声が届く。
  
「はーい、風向き変わったから速度上げるよー!」
  
 躊躇いはなかった。
 いい声での号令と言うか極刑宣告と言うか。この風の中でも通りがよく、皆に届く。
 因みに速度を上げるということは、揺れも増えると言う事である。
 ああ、デンジャラス。
   
「ウニかっ、これはウニの試練なのかぁぁぁ……!?」
「ティナちゃん。負けないぞぉ、俺はぜってー負けねぇーからなぁ~っ!!」
  
 揺れと熱くバトルする二人。
 これだけ元気よく船酔いする人種も珍しいかもしれない。
 一方そんな二人を遠目に見守るのは片手にお茶を持ってマッタリと海を臨んでいるシオンと、風除けの後ろで読書しているナハト。そして一人予定通りに歌ってるラディクス。(冒頭で歌ってたのは実は彼女)
  
「……ふぅ」
  
 もう慣れた。ので船酔い×2のやり取りを溜息だけで済ませてしまうナハトだった。
 今は読書に勤しみたい、折角快適な環境と興味深い本があるのだから。
 因みにナハトが読んでいるのはステールッラから借りた天文学の本である、題名は『新宇宙理論・アルセルの最終定理』。
 世界の絶対の判を押す究極宇宙理論は存在する、多宇宙理論からなる更なる宇宙の存在定理を解き明かす。そんな内容の本だ。
 間違っても船酔いしてたら読めないだろう。
 いや、酔ってなくても読めない人間ばかりだと思われる内容だ。
 ともかく、ナハトもシオンもラディクスも通常そのもの、全然これっぽっちも酔ってなかった。
 船旅を経験済みらしいラディクスはともかく、ナハトもシオンも船に乗った回数は船酔いたちと似たり寄ったりの筈なのだが。……やっぱり日頃の行いなのかもしれない。
   
「アーザス、お茶飲みますか?」
「……いい、ちょっとでも胃を刺激したらデンジャラスだ」
  
 とっても飲みたそーーにしているアーザスではあったが、本人がそう言っているのだから我慢してもらうしかない。
 何とかしたくともアビで船酔いは治せないし、この状態でも体内にはin酔い止めなのだ。
  
(これは見た目以上に重傷ですね……)
 普段の暴飲暴食振りをよく知っているシオンの感想はこんな感じだった。
 顔で笑って体内で泣いていると見た。
 普段元気な人間が病気やら怪我やらで元気をなくすと、いっそう心配になるものである。
 その相手が近しい人間なら尚の事。今できるのは背中を擦るくらいだ。
  
「サルサ、お腹が大丈夫か~?」
「だ……、だ、いじょーーぶだぁ………」
  
 ラディクスが背中を擦っているもののサルサもへろへろ状態が解除されることはなかった、これはもはや新たな状態異常と言っても過言ではない。
 3ターンぐらい体値が0になる、と言った所か。
 勿論サルサも体内にin酔い止め状態。
 海は過酷だ。
  
  
「船酔いするのは構わないけど、『くじらごう』を汚したりしないでよ?」
  
 船乗りも過酷だ。
 だが暴飲暴食する人間ほど中には沢山詰まっているのである。その心配は当然と言えよう。 
 我が家でもあるこの船を汚されては堪ったものではない。
 それに現在軽々にバーレル・楓華列島間の航路を泳いでくれている『くじらごう』の機嫌をそこねることだってあるかもしれない。
  
「ああ、それなら私エチケット袋持ってますよ」
  
 そういってすかさずエチケット袋を取り出すセイル。こうなる事ぐらいは予想していたのだろう。
 流石にその辺りの準備はキッチリしている。
 チラッと二名の表情を確認。
 二人の顔色から言ってリバースは決定事項のようであった。その袋はただの袋なれど必ずや『くじらごう』の救世主として役に立つ事だろう。
 しかしそんな騒ぎを海が知るはずもなく……。
  
 『くじらごう』は轟々と音を立てて進むばかり。
  
「みんなーー、右手の方を見てみてー! 鯨が潮を吹いてるよーー!」
「お、やっぱりか。アヤノはいつも鯨の道を取るからなぁ」
  
 操舵室から声を張り上げるアヤノ、流石に自分の好きな航路を取ったと言うだけ有って鯨の通る辺りに舵をきっていたようだ。
 ステールッラが船内から顔を出すと、鯨の潮を吹く音が微かに聞こえた気がした。
 しかし気のせいだろう、鯨の姿は小さいのだから。
 遙か遠くに、水の吹き上がる白い光が輝いていた。
 遠いくて小さいのが少し残念だがその辺りはよくあることだ。人生全てが上手くいってはつまらないと考えればこの鯨との出会い方も乙だろう。
 噴き上げる潮、水中に隠れているであろう黒々とした巨体。
 それを遠目に見ながら皆は初めて見る生の大鯨の勇姿を思い浮かべるのであった。
 それどころではない二名を除いて。
  
  
<海水浴 ~やっぱり夏は海でしょ!~>
  
 セイルの案内で楓華列島マウサツの海岸に到着した『くじらごう』、この巨大な船は今日の日の最後の鳴き声をあげるとゆっくりと止まっていく。
 一仕事終えたかのように悠々とスピードを落とし、やがては完全に止まる。
 到着!
 遂に海の終わりがやってきたのだ、陸地と言う駅に着いたのだ!
 すっかりと元気になった二人を加えた一行は足取りも軽やかに上陸を果たしたのであった。
 マウサツの同盟とは一味違う自然が一行を待ち構えている。
 空気すら味が違う。
  
  
「うっはぁ~~、アレが松ってやつかっ? んで、アレが竹だよなっ! すっげぇ、初めて見たぜ--!」
「あっち砂浜があるよっ、早く泳ごよぅっ!」
  
 一味違う空気を吸って、元気組みは一気にハイテンショーーン!
 夏っ、海っ、晴っ!
 これではしゃがない奴は居ないっ!!
  
「よっしゃ、突撃ぃーー!!」
「おーー!」
  
 一行は早速海へと駆け出して行くのだった。
 走ってはいない者も心なしか楽しそうなのは間違いない。
  
  
 そして砂浜に到着した一行は着替えて。
 海の満喫をスターートッ!!
  
  
 海と言えば海水浴。
 海水浴と言えば砂浜。
 砂浜と言えばサルサの砂埋め。
   
「なんでだぁぁぁぁ~~~っ!?」
  
 お約束である。
 世の中にはお約束ほど逆らってはならないものは無い。理不尽かもしれないがこれが真理。
  
「フフ、諦めて下さい。サルサさん」
「何をっ」
  
 最初に目に付いたのは、シオンが成す術の無いサルサを深き砂底に生き埋め……もとい和やかに砂をかけている場面であった。
 日陰で本を読んでいたセイルもいつの間にか日傘を差して確り観戦していた。
  
「サルサさん、頑張って下さい。ちゃーんと見てますからね♪」
「だから何を頑張るんだぁっ!?」
   
 勿論二人とも日焼け止めはバッチリと塗っている、特にセイルの塗り方には何かの執念を感じるほどだ。
 しかしシオンは何処にこんな巨大なシャベルなんて持っていたのだろうか? 
 ……きっと気にしてはいけないんだろう。
 その間も順調に砂山は高くなっていく。
 笑顔がコワい、無邪気なのがとってもコワい。そして何より必要以上に積まれているように思えてならない砂の小山がコワい。
 サルサの枕元に冷汗で砂浜の砂に小さな染みができたのであった。
 迫る眩しい笑顔。

 続きの描写はサルサの人権に関わってくるので、場所を変えてみよう。(ぁ

サルサ山(ねこ作)


絵作者:解説ねこ

  
  
 爽やかに流れる潮風は小さな砂浜に漣(さざなみ)を起す。
 その永久の連鎖は夏の海という溌剌とした言葉と裏腹に限りない母性を称えていた、例えどんな季節でも海は変わらずに『母なる海』なのである。
 そう、その母なる海を『夏の海』へと変えるのはひとえに人の行いだ。
 人々の遊びが、明るい笑顔が、楽しげな笑い声が海を溌剌とさせる。
 そして、ここに来ているメンバーは海を照らすには十分なメンバーだった。
 その内の一人も元気に海を明るくする為に活動中だ。
  
「ウニー、ウニって潜ったら居るかなー?」
  
 砂の小山から20mほど離れた浅瀬にラディクスは居た。
 周りにはアヤノしか居ない、と言うかなりの穴場なのかこの砂浜に自分達以外の人の姿は見受けられなかった。男達はなにやら砂浜でブラックしていたので一足先に泳いででいるのだ。
 少し寂しいけれど開放的と言ってしまえば背中の両の羽も元気に羽ばたける。
 ラディクスは薄手のTシャツにスパッツ、それと水の中が見えるようにゴーグルを装備中だ。こうしていると背中の羽が目立つ。
 時々水を切るために羽ばたくけれど羽はできるだけ畳んでいる、どうしてもエンジェルの羽は泳ぐ時邪魔になるからである。
 因みに前回では不覚を取ったけれど今回はちゃーんと泳ぐ練習をしてきたのだ、息継ぎをマスターしてレベルアップしたラディクスはいつもよりかなり元気だった。
 初めて空を飛んだ鳥のように。
 元気にバタ足&息継ぎっ!
  
「ウニか……、ウニはもうちょっと沖に行かないと取れないね。私が取ってこようか?」
  
 Tシャツ細身のラディクスに対して此方は青い魚柄のビキニの大人、アヤノ。彼女はまっかせなさいとばかりに自らを指差してウニ捕獲を宣言する。
 流石に最も得意分野だけに色々と自信満々だ。
 ちなみにバスト93ねv(本人談) 
 確かに得意分野。
  
「ウニどこにあるか? 一緒に行こう!」
「うーんそれはいいけど……、溺れそうになったらいけないから離れないでよ?」
「はいなっ♪」
「って言ったそばから波に浚われてるっ?」
  
 息継ぎしか出来ないのだから喋っているとどんどん真っ直ぐ流されていくのだ。
 だって方向転換が出来ないのですからぁぁぁぁあ、残念っ!
 慌てて泳いで追いかけていくアヤノ、流石に波に流されていくスピードよりも泳ぐ速度は速い。
 最小限の水しぶきで最大限の推進力、その達人の技を使って何とかラディクスを捕まえる。そしてホッと一息。
 とにかく、仲良く泳いでいく二人であった。
 アヤノが一緒だから大丈夫だろう、うん。
  
  
 一方こちらは男どもの巣窟。
  
 別名サルサを生贄にして生き延びた者どもの避難場所たる砂浜。サルサ山(命名)よりもちょっと離れた場所だ。
 波が来る度に足元が現れるのがこの刺すような日差しの中では心地よい。
 いつまでもこうして居たくなるほどに。
 そこには黒地に赤の水着のアーザス、黒いトランクス型の水着のステールッラ、そして本は読み終わったらしい海パン姿のナハトが居た。
 皆泳ぐ気満々の水着姿だ。
 が。
  
「あ゛ー、あたまいたい……」
 ステールッラは、船に乗ってたときにこっそり飲んでたようだ。
  
「ち、俺様としたことが最後の最後でリバースしちまうとはな……」
 アーザスは、降りた直後に来たらしい。元気になって油断したのだ。YOU LOSS。
  
「天文学か、それも興味深いな……」
 ナハトは天を見上げ。いや旅行に来たのだからさ……。
   
 ブラァァァァッック!!
 何だこの暗さは、と思わず突っ込みたくなるような暗さであった。ここだけ日陰みたいだ。
 情け無いぞ若い男達よっ!
 ここは夏の砂浜。
 夏の砂浜と言われれば子供だって泳ぐもんだと言う事は知っている。勿論大人だって知っている。
 このままブラックではいけないのだ!
   
「折角来たんだ、遊泳でもするか……」
  
 ナハトが提案するものの、だがこの黒は海まで侵す勢いだ。
 泳いだら綺麗に澄んでいて沖に出ても底が見えるようなこの海が真っ黒に染まるかも。
 ええい、泳げば何とかなるっ!
 とにかく泳げとナハトが隣でフラフラしてる病み上がりと頭痛の背を押すようにして海に入って行った、その時だった。
 サルサ山の方面から声と、足音が。
  
「お、シオンか」

 彼女と知って途端に元気になるアーザス、現金なものである。
 だがそれも仕方ないだろう、『Peny black』このマーブル模様の野性味あふれる水着を着たシオンの前に元気にならない男は居ないっ! 居たらそいつぁガキだ、ご老人だ、男じゃねぇ!(アーザス談)
 まぁ、明るくなったからいいか、とナハトは冷静に無視した。
 滝のようなノイズブラッドを。
  
「私も混ぜてください。一緒に泳ぎます」
「ん、あれ。でもサルサはどしたんだ?」
  
 鼻を押さえたアーザスが聞き返す。
 サルサ山はまだ健在していた。逃げられたわけでは無さそうだ。
  
「砂を掛けてあげていたら途中で寝てしまったみたいで……、起すのも可哀想なのでそのままにしておきました」
「(……南無)」
  
 アーザスも通った道なのであった。
 捧げる事数秒間、黙祷。
 いつになく真剣なその様子に疑問のシオン。
  
「…?」
「あー何でもないっ! よっしゃお前ら! 泳ぐぜぇ~~っ!!」
  
 ばっっしゃーーん!!
 っと、景気良く海に飛び込んで皆を手招きするアーザス。その顔は晴れやかで一気に場のテンションを上げる。
 苦笑しながらもそれに続く三人、こうなってからが海の本番だ!
 泳いでこそ海であるっ!
  
「私、こう見えても結構泳げるんですよ? ふふ、アーザスには負けませんから」
「はっはっはー、俺のバタフライに勝る者はねぇぞー」
「俺、こう見えても長距離は苦手なんだよなあ。ああ、あんまし深いところには行くなよ?」
「遊泳か、久しぶりだ……。今なら何処まで泳げるだろうか?」
  
 そこには思い思いの海がある。
 途中でラディクスたちと合流した四人は、存分に泳いだのだった。
  
  
 <一時間後>
  
  
 重い
      暑い  圧い  
 熱い
 ぐるしい………  動けない………
    これって金縛りかぁ……?
  
「……う…ーん…………ハッ!!  なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!??」
  
 深き睡眠から気が付けば、目の前には巨大な砂山が。
 そしてそれは自分の真上に積もっているでは無いか、自分は埋まってしまっていて動けないではないか。
 しかも何だろうか。あの山の頂上に置かれたスイカは?
 なんかもう、先が想像でき過ぎて現実と認めたくなくなるような光景だった。 
  
「夢だっ、そうだっっ、これはぜってー夢なんだぁ……!」
「お、サルサが起きたみたいだぜ?」
  
 一行は夢でも幻でもなく間違いなくスイカ割りをしていた。楽しそうに。
  
「構わない、続けろ」
  
 冷静に続行させるナハト。
  
「ステールッラさーん、右ですよーー。今の立ち位置から37度ほど右に向きを変えて肩幅の歩調で3歩半ですー」
「あんたー! 男なら豪快に思いっきり振っちゃってよー♪」
  
「お、おう……!」
  
 日陰からやけに正確な指示を与えるセイル(目標は勿論サルサ)、サルサに向かってる事を知ってて思いっきりと叫ぶアヤノ。
 止め役は居なかった。
 グワンと天高く振り上げられるバット。
  
「サルサさん、いざとなったら自己ヒーリングウェーブです」
「もっといざとなったら俺の抱擁もあっぞ~~」
  
 そしてこっちもやっぱり止めないこの二人。サルサの冷や汗加減が目に浮かぶようだ。
 血も涙も無いカップルであった。
 いや、あるかもしれないが心からこの光景を楽しんでいた。
  
   
 続きはサルサの人権に関わるので、再び場所を変えてみよう。(ぁぁ
  
サルサ山(アヤノさん作)


絵作者:アヤノさん



  
 シャリシャリ、シャリシャリ……。
 ラディクスは腰を屈めて砂浜を掘ったり、歩いたり、そしてまた掘ったり。と言う事を繰り返していた。
 余りにも小刻みにせわしなく繰り返しているのでどこか踊っているようにも見える。
 だが踊っているのではない、お土産の貝殻を探しているのだ。
 砂浜は広い。
   

 そして砂浜と言えば探さなくても貝殻と言うものは落ちている、時には落ちてい過ぎて足を怪我する事も有るほどに。
 しかし綺麗な、特に気に入った貝殻ともなるとそう簡単には落ちていないのだ。それに簡単に落ちている物を拾ってきてもしょうがない。
 貝殻探しはやってみると意外に奥が深かった。
  
「あ、カニィ♪ あ、こっちにはゴカイだよー♪」
  
 だが中々見つからない理由は別にあるようにも思える。
 クルクル移り行く興味、そしてそれに答える砂浜。この生命の溢れる水場は面白いものばかりで目移りしてしまいそうだ。
 ずっと居ても飽きないかもしれない。
 でもきっとそれは幻想。
 一人の海は孤独と哀愁と漣の仄かな優しさしかないのだから。
 この場合、こんなにも楽しいのはきっと後ろで騒いでる奴らが居るからだ。それだけなのに海はこんなにも変わる。
  
「ラディクスーっ、どう? 良い貝殻でもあった?」
  
 そこにやってきたのは的確な助言を終えたらしいアヤノ、……あえてサルサがその後どうなったかは語るまい。
 彼女もお土産は綺麗な貝殻でも拾っていこうと考えていたのだ。
 するとラディクスを見つけた。
 で、ラディクスを後ろから覗いてみると何故かカニやらゴカイやら……、でも貝殻も沢山集めていたのだった。それだけで色々と興味が行ったり来たりしたのだろうと想像がつく。
  
「あ、アヤノ! えっとな……ほら! これなんか良いな、ピカピカ光ってるよー♪」
  
 アヤノを見て取るとふと集めてきた貝殻の中から自然に目を引いた一個を取り出すラディクス。
 それはその小さな手に余るほどの大きな巻貝、けれど形は何処も欠けていない綺麗な円錐をしていて、貝殻独特の淡い白の虹色をしていた。
 耳にあてると波の音が聞える。そんな貝殻。
 いかにも海って感じがする。
  
「へー、それだけまっ三角なのは珍しいねぇ。……あ、これなんかもいいかも」
  
 アヤノが手にしたのは、小さな二枚貝。
 アサリに代表される扇型のオーソドックスな形、親指の爪よりも少し大きいぐらいの謙虚な貝殻だ。
 華美ではなくひっそりとした印象を受ける。
 薄い薄いピンク色、先端行くほどのそれは薄くなりやがては雪のような白になる。優しさを色にしたらこんな感じになるのかもしれない。
  
「うーん……でもこっちもいいかな」
「見て見てアヤノ! こっちにも綺麗な貝殻がは有るよ!」
  
 顔を上げるアヤノ。いつの間にか移動していたラディクスが手招きする先には別の貝があるのだろう。
 どれもどれもそれぞれに個性があって綺麗な貝殻が。
 その中から『一つ』を探すのは実は難しい事なのかも知れない。
 だからこそ『一つ』を選ぶ事が楽しいのだ。
  
 夏の海岸を一杯に楽しんで、探し求める貝殻は何色だろう。
 今この心の色だろうか?
 海岸に沈み行く夕日が答えを言わぬまま沈んでいく……。




④ウニ、バトルロワイヤルに続く
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